【開催レポート】「まずはスマホ化から」──都内病院の事例に学ぶ、行田総合病院医療DXセミナー
2025年、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれる中、「何から始めればよいのか」「現場にどう定着させるか」は多くの医療機関にとって共通の課題です。
先日、社会医療法人壮幸会 行田総合病院様にて、都内城北エリアの中小規模病院でDX推進を担当する講師を招き、医療DXセミナー「診療現場を変えるAI活用の実例と未来像」が開催されました。
本記事では、限られたリソースの中で成果を上げている「都内病院」の事例を参考に、明日から実践できるDXの取り掛かり方と、生成AI活用の最前線をレポートします。
1. DXの第一歩は「連絡手段のスマホ化」から
講演ではまず、DXの取り掛かり方として院内コミュニケーションのデジタル化が提唱されました。
講師の所属する病院では、2020年のコロナ禍を契機にPHSやガラケーからiPhoneへの移行を進め、現在では管理職の所持率が100%に達しています 。
ビジネスチャットツール「LINE WORKS」を導入し、電話連絡をチャットに置き換えることで、多職種間でのスムーズな情報共有を実現 。これが基盤となり、その後の高度なAI活用へと繋がっているという「段階的な導入プロセス」が解説されました。
2. 生成AI導入で「書く業務」を劇的短縮
通信インフラを整えた次のステップとして紹介されたのが、生成AI「Ubie(ユビー)」の活用です。
「専門的なプログラミング知識は不要。現場スタッフが直感的に使える」点を重視し、導入後すぐに以下のような成果が生まれています。
- 紹介状作成: 15分/件 → 3分/件
- 退院サマリ作成: 15分/件 → 5分/件
- 症状詳記: 15分/件 → 5分/件
電子カルテの情報をコピー&ペーストし、AIに「要約して」と指示するだけで、整った医療文書が数秒で生成されます。事務作業の負担軽減に貢献しているとのことです 。
3. 現場のアイデアを形にする「ワークフロー」活用
講演の後半では、単なる文章作成を超えた、現場ならではの応用事例が紹介されました。複数のAI処理を組み合わせる「ワークフロー機能」を活用した事例です。
画像認識による「周術期内服薬」の自動分類
患者さんが持参したお薬手帳や処方箋を画像として読み込み、テキストデータ化。さらに麻酔科医の指示基準に基づき、「術前に中止すべき薬」と「継続すべき薬」をAIが自動で分類・リストアップする仕組みを構築しました 。これにより、目視確認の負担を減らしつつ、ヒューマンエラーの防止にも寄与しています。
救急現場での「音声入力」活用
一分一秒を争う救急現場での活用事例も共有されました。
救急隊からの受入要請電話をスマートフォンで録音し、AIが即座にカルテ形式(主訴、バイタル、既往歴など)に要約。患者到着前に情報共有が完了するため、受け入れ準備がスムーズに行えるようになりました 。
4. 「全員参加型」で進める組織づくり
こうしたツールを定着させるため、講師の病院では2024年に「医療DX委員会」を設立しています 。
特徴的なのは、医師や管理職だけでなく、事務職、看護師、コメディカルなど多職種が参加し、若手職員も積極的に巻き込んでいる点です 。特定の人だけが使うのではなく、病院全体で「デジタルを使いこなす文化」を作ることが、DX成功の鍵であると語られました。
まとめ:テクノロジーで「人間らしい医療」へ
講演の締めくくりとして、「AI利用の真の目的は、効率化によって生まれた時間を、人間でなければできない仕事(治療やケア)に注力することにある」というメッセージが送られました 。
都内の実践事例を通じ、行田総合病院様の皆様にとっても、自院でのDX推進に向けた具体的なヒントが得られる有意義な機会となりました。


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